解剖学の実習試験

 一年の解剖学の座学を終えると、次に実習試験が待っています。 一般的な「解剖」のイメージ通りの、ご献体を解剖して、アトラスで学んだ知識の実際を見る機会です。

 始まった初日は、みんな意外と平気な顔してこなしていて驚いたのを覚えています。

 皮切のときは、皮下脂肪も多く見えて、人体!!という感覚も強かったのですが、だんだんと開胸から臓器を学んだ後、下肢離断を過ぎたあたりになると、原型をほぼ失い、人体!!感は薄れてきました。 

 ただ、頭部離断を行った実習の日、最後に、内臓の抜けた肋骨の脇にアタマを置いてアルコールをかけたとき、今までで一番、ゾッとしました。

 そうした感覚を時々私は感じます。

 もくもくと剖出しつつも、実習後に話すと、やっぱりみんなそれぞれ、生々しい人体に驚くことがあるそうです。 

 多くの方は、神聖に、厳かに解剖を学生は行うべきだし、行っているとお思いになると思います。 万に一人ふざけた奴もいるかもしれませんが、実際みな真剣に取り組んでいます。 ただ、みんな人体であるというの実感を強く感じずにはいない(ようになる)と思います。 それはそれで正しくもあるし、不誠実でないと思います。 仕方ないこと、ということではなくて、神聖なトレーニングだと私は思います。 

 もしご献体をお考えの方がいたら、ぜひ解剖学実習の見学を近くの大学、もしくは後援会に提案なさって欲しいと思いました。 学生の様子を実際に見ることもできますし、学ぶ側の姿勢をより一層真摯にさせてくれるものと思います。

 話はずれますが(進みますが?!)、実習に対する態度も大事だとも思うのですが、はっきり言えば、この学科は特に試験結果が重要だと思うし、教える側も態度に問題なければ、点数のみを見ます。 とてもシビアです。(大学や教授にも依りますw) 理解すべきこと、知っておくべきことをマスターしていなければ、先生方は涙も流さず切り捨てます。 それは「患者の命を握る医師を自分たちが育て、送り出している」という責任感からです。 いくら真面目に?!授業受けようとも、自分でお勉強しなけりゃやってけない。 そんなことを実習試験の結果が返ってきた今、思う限りです。